「なりきりネタなんでもあり板」で日々プレイされている「TRPGスレ」のレビューブログです。 TRPGスレについてはhttp://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/56.html参照
こんばんわ。
土曜のうちに更新のつもりが、予想以上に予定がズレこんでこんな時間になってしまいました。
今回は、時間的な負担の少ない短めのスレということで1スレだけサラっと読めた新生ヘヴィファンタジーについて書きます。
新生ヘヴィファンタジー。
スレタイからも分かるように、過去の名作と同じコンセプトでもう一度新規に始めようという復刻版スレです。
元になった無印ヘヴィファンタジーは、ラストの怒涛の展開で肥溜め(当時はマボダイ)で一躍有名になったスレでした。
私の口からは言うのも憚れるような内容なので、気になる方はぜひ、ご自分の目で確かめてください。
広辞苑の過去スレから今でも見れるはずです。
というわけで話を新生ヘヴィに戻します。
コンセプトとしては、その名の通りヘヴィな作風のファンタジー。
ここで言うヘヴィ(重い)とは、「重い空気」とか「ヘヴィな状況」とかそういうニュアンスです。
重苦しく、陰鬱としていて、ご都合主義の存在しない、シリアス偏重なファンタジー。
それが、この新生ヘヴィファンタジーという物語です。
あらすじを説明すると、まず舞台となる辺境の街では圧政を敷く帝国に不満を持った民たちが反乱を起こしています。
そこへ、皇室第九皇子率いる帝国軍が、反乱鎮圧と暴徒粛清のために派兵されて来ました。
民草に比べ武力において圧倒的な軍の到着により、反乱は即座に治められる・・・そのはずでした。
何度倒されても立ち上がる人々、帝国軍すら翻弄する新兵器の登場、民草ですらない第三勢力の暗躍・・・
この反乱の背景には、帝国と敵対関係にある王国の後ろ盾があり、どうやら一筋縄ではいかないようです。
と、この反乱軍と帝国軍との戦争の趨勢が、物語の軸となります。
というよりも序盤のこの戦いだけでスレ自体が終了してしまったんですけどね・・・
さて、このスレを語る上で外せないのが登場人物、参加者操るキャラクター達です。
新生ヘヴィでは参加者は必ず帝国軍と反乱軍の二陣営のどちらかに参戦する形でキャラを作ります。
その背景にどんな事情や組織の存在があろうとも、便宜の上では二極です。
必然的に、圧政を敷く帝国に与する者は悪役、それに抗う反乱軍が善役となります。
ところが、帝国軍側のメンバーは不遇の皇子や忠節者の臣下、人の良い中年兵などおよそ悪役とは思えぬ面子が揃い、
逆に反乱軍側は契約によって力を貸す謎の男や死体を操る術を持つ神官、力のままに暴れる竜神etc・・・
反乱軍の背景に「王国の陰謀」があることもあってか、掴みどころのない謎多きキャラ達が集まっています。
このキャラと所属のギャップは偶然の采配によるところが大きいとは言え実に巧妙で、読み手としては一瞬どっちを応援していいのかわからなくなってしまいます。
それはシナリオ中にも現れており、スタート時は侵略行為や重税などの圧政に加担する帝国サイドは悪役として描かれていましたが、
話が進むにつれ反乱サイドが優勢になってくると今度は伝染病の流布や死体を操り戦わせるなど反乱サイドの戦術がエグくなっていき、
同時に帝国の圧政にも論理的な解説がつくとどこかそれなら仕方ないなと納得できてしまっていて・・・
いつの間にか、民を導くべく正当な戦いをする帝国と、それを阻む王国の傀儡となった反乱軍、といった構図に見えてきてしまいます。
ゆえに新生ヘヴィスレは、この二転三転する『正義』の在り処を読み手に問う物語だと私は思います。
王道ファンタジーのように光と闇の勢力で正義が明確に定まっているわけではなく。
むしろ正義とは、そこに立つ人間が戦う理由として標榜するために都合よく作り替えてしまうプロパガンダなのだと。
『正義とはルールではなくスローガン』。そう念頭に置いてこのスレを読み解けば、キャラ達の心情にも得心がいきます。
彼らにとってこの戦いは、勧善懲悪ではなく利害の不一致による武力交渉なのです。
さてさて、この新生ヘヴィスレの魅力はもう一つあります。
それは、登場人物全員が魔法スキルを標準装備しているという状況によって生まれたハイレベルな魔法バトルです。
このスレにおける魔法は、火水木風地の五属性で体系付けられ戦争にも積極的に取り込まれています。
ダークスレ/レギオンのように綿密に設定を組まれているわけではなく、ジェンスレのように特殊な契約設定があるわけでもなく、
ファンタジー系ゲームの属性分け程度の原始的な魔法体系ですが、これがうまく機能しています。
この五属性はいわゆる五行思想の相剋相生に則っており、例えば風属性は火属性に弱く、地属性に強いです。
新生ヘヴィでは、風属性に相性の悪い地属性使いが工夫を凝らしてなんとか対等の戦いに持って行ったり、
火属性の呪いを打ち消すために水属性を使う・・・ということまで見越して水属性の探知結界を張ったり。
そういう属性の相剋を前提に置いたバトルがとても面白かった印象があります。
これはスレとは関係ない一般的ななな板TRPG論になりますが、昔からプレイヤー達の間で属性システムは鬼門とされていました。
属性システムを採用すれば、例えばある属性に対して強い属性は、チョキに対するグーのように無条件に打ち勝ってしまう。
これがどんな問題を招くかといえば、つまりはバトルの陳腐化です。
どれだけ知恵を絞り工夫を凝らした必殺技を放っても、属性的に弱ければ簡単に打ち消されてしまう。
どれだけ伏線を張って凄みを強調してきた敵キャラも、属性的に強いキャラにはどうやっても勝てない。
これが、きちんと数値化されたシステムを持つ本家TRPGならば運用できたのでしょうが、なな板のこれはほぼリレー小説です。
ましてや、エンチャント技能などで属性をコロコロ替えられるようなキャラがいたら、そいつが否応なしに最強です。
ゲームバランス、というか物語としてのバランスを崩壊させかねないからこそ、属性システムには慎重にならねばなりませんでした。
新生ヘヴィの場合、この属性システムに何かバランス維持のための制限をかけて組み込んだわけではありません。
ゆえに前述の通り地属性使いと風属性使いが対峙したり、風属性の呪いに手も足も出ないという状況も発生しました。
しかし、それでも工夫と立ち回りによって互角の戦いができていたのは、ひとえに参加者達がきちんと空気を読んだからでしょう。
上記のようなバランス崩壊は、最強厨や万能厨がいるからこそ懸念される事項です。
ちゃんと空気を読んで、相手を尊重するプレイをできるのなら、この問題は発生し得ません。
そういう意味で、属性バトルをハイレベルに行えていた新生ヘヴィは、とても参加者に恵まれたスレだと言えるでしょう。
それだけに、途中で終了してしまったのが残念でなりません。
またこのようなバトルの面白い、また深く考えさせられるスレに出会えることを願って。
ご清澄ありがとうございました。
こんばんわ。
当面の方針として、完結済みもしくは惜しくも完全凍結や途中終了してしまったスレについて語ろうと思います
現行のものはまだ物語が形成されていないものも多く、また私がレビューすることによって余計なトラブルが発生してしまうなどのリスクを考慮したうえでのことです。
ブラまほについては、3月の一時終了時に一端の区切りがついたということでレビューさせていただきました。
今後ぶらまほが完結したときに、改めてレビューをしようと思います。
というわけで、今回は先年の震災で惜しくも凍結の憂き目にあった空戦少女について語ります。
空戦少女。
ジャンルとしては、一応SFミリタリーアクションになるのでしょうか。
コンセプトは、少女×兵器×空戦!テンプレでも言及されていましたがストライクウィッチーズや武装神姫の流れでしょう。
ここ二日間で本編の方を拝読しましたが、どっちかというと軍事系というよりかはスポーツ系のノリですね・・・。
遠い未来、長く続いた戦争が終結し、世界中の空が残らず平和になって間もない世界。
戦闘機に代わって空での戦いの覇権を握っていた空飛ぶアンドロイド兵器達は、「空戦少女」と名を変えて戦いの場を興行ショーに移しました。
「空戦少女」は、アンドロイド達の非軍事性をアピールするために作られたスポーツ競技です。
とは言え、もとが軍用兵器なのでその様相は健全とは言い難く、実弾ありの過激なバトルをウリにした興行でもあります。
参戦する空戦少女達には大きく分けて二種類いて、ひとつは軍属上がりで力を振るう場所を空戦に求めた古兵の戦闘狂。
そして、各国企業がその技術力をアピールするために空戦少女専用に生み出した純粋培養の若い世代。
前者も後者もスポーツ競技という空戦少女の本質にはそぐわず、そして意志ある彼女たちは自分の在り方に迷います。
戦場で墜とすか墜とされるかの戦いを繰り広げ、勝ち続けてきた古参達は、(建前だけでも)健全を強制する競技に辟易。
そして企業の宣伝塔として空戦少女に放り込まれた新参者達は、「活躍」はしても「勝つ」ことに意味を見出せません。
片や、旺盛すぎるハングリーさをスポーツの中でうまく消化できず。
片や営利主義の傀儡であり自分の意志で踏み出すことを知らず戦闘意欲の欠片もない。
この両極端な対比の構図が、空戦少女というドラマの軸となって物語は走り出します。
ゆえにこのスレの根本のテーマは、空戦少女という競技を通して自分の在り方を見つけていくことだと、私は解釈しました。
そのテーマは第一章「キャノンボールレース」の結末によく現れていると思います。
自分に宣伝塔以上の価値を見出せず、観客へのアピールにかまけて幾度も勝利を逃してきた空戦少女。
彼女は、戦場からやってきた勝ち続けることでしか自己表現ができない古株の空戦少女と出逢い、そして競技では対峙します。
煮詰まったレース終盤で、古株の勝つことに命すら掛けるひたむきさに触れたことで、彼女は胸の奥に滾る戦意を自覚。
古株の少女もまた、「カッコよく」戦うことを貫く新参者に心を惹かれ、全力でぶつかり合います。
握った汗すら蒸発するデットヒートを経て、勝利をその手に掴んだのは――?
ネタバレになるので深く言及はしませんが、末尾ダイスは本当にいい仕事をしたと思います。
空戦少女はこの二つの正反対な「不完全さ」を対立関係に持ち込んだ妙手こそが魅力の一味でしょう。
お互いがお互いのいびつさを際立たせ、それを求め合うことで達成のカタルシスを相乗させている。
遠未来が舞台の、全身武器な空戦少女たちの妙な人間臭さがそこに彩りを加えているのです。
というわけで、今回の総括。
空戦少女とは、よく練り込まれたSF系世界観で展開される泥臭いスポ根モノである。
基本はSFバトルですが、根底に流れるのはやはりスポ根の血であると思いました。
もちろん異論は受け付けます。
ご清聴ありがとうございました。
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