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「なりきりネタなんでもあり板」で日々プレイされている「TRPGスレ」のレビューブログです。 TRPGスレについてはhttp://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/56.html参照

2024年10月15日 (Tue)
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2012年07月16日 (Mon)
おはようございます。
三連休にかまけてすっかりPCから遠のいておりました。
ちょっと土曜更新が物理的にキツいので、日曜更新に変えようか検討中であります。
 
今回はリクエストがあったということで、ダークファンタジーについて語ろうと思います。
お恥ずかしながら名前はよく耳にしていたものの、ダーク-レギオンに関してはROMすらしていなかった体たらく。
急ぎ過去ログを取寄せまして、この土日でさしあたりダークファンタジーの第一期と呼ばれる区切りまで読みました。
小学生並みの感想ですが、すごく面白かったです。
正直新生ヘヴィと被るかなと思って若干敬遠していたのですが、その判断は間違いだったと確信できます。
というか、雰囲気自体は似ていますがジャンルも戦記ものと冒険もので全然違いましたしね。
正式なTRPGとしてルールブック化もできそうなくらい作りこまれた世界観と、キャラ達の生への渇望が大きな魅力だと思います。
 
ダークファンタジー。
ジャンルは『冒険もの+人間ドラマ』
コンセプトは読んで字の如く『ダークなファンタジー世界での人間模様』
テーマは『容赦ない苦境への抗い』   と言ったところでしょうか。
 
以下、簡単なあらすじ。
それぞれ別の街から種々の理由で逃げてきた三人の旅人。
出会ったばかりの三人は、鬱蒼と茂る夜の森、獣臭と血臭の漂う魔の森で、人喰いの魔獣に遭遇し襲われます。
更にそこへ旅人の一人を追って森に入った、巨躯の僧侶とその傭兵が介入。
旅人たちは機転により、僧侶組と魔獣をかち合わせてその隙に逃げ切ることに成功します。
そしてこの僧侶こそが、本シナリオの中軸を担う陰謀『ヴァフティア事変』を引き起こす鍵となる人物なのだった――
 
タイムスタンプを洗い出して気付いたのですが、一時期なな板ではファンタジー系スレが乱立された時期がありました。
つまりはファンタジーが大流行したということなのですが、ダークスレはその走りとなったスレなのですね。
というか、ダークの人気に乗っかってファンタジースレが大量に増えたと言った方がいいのでしょうか。
先日レビューした新生ヘヴィもそうですし、印象に残っているのではラブファンタジーなんてスレもありました。
ラブファンについては後日レビューするとして、ダークの話に戻しましょう。
 
ダーク一期のシナリオには、いくつかキーワードが存在します。
GMのないスレなので、このキーワードに沿って各々が自キャラの因縁を絡めていく、というスタイルでした。
『ゲート争奪戦』『終焉の月』『地獄』『アルティミシア』
といったキーワードを全て説明しては重大なネタバレになってしまいますので、かいつまんで言いますと、
これらのキーワードは全てが『七年前』という言葉に収束していきます。
かつて平和に暮らせていた登場人物たちの人生は、七年前の『ゲート争奪戦』で全て狂い、そして現在に至ります。
このシナリオは、各キャラ達が七年前に失ったものや、残った禍根に、決着をつける物語でもあるのです。
 
こうやってあらすじを書き出してみると、ダークファンタジー、そこまで突飛なシナリオというわけではありません。
ブラまほや空戦少女のように明確なコンセプトがあるわけではないですし、
そもそもGMが存在しておらず、シナリオも半ば自然発生的に生まれたものですから、よく練られてもいないはずです。
なのに何故、この物語は私の心を掴んで離さないのでしょうか。
それは、シナリオの根底に漂う『したたかさ』によるものではないかと思います。
 
七年前に起きたゲート争奪戦は、国家を揺るがす規模のもので、多くの人がそれにより不幸になりました。
しかし、その不幸に向き合わなきゃならないのは、国家ではなく不幸を受けた当事者一人ひとりなのです。
カッコ良く登場して全てを解決してくれるような英雄なんていません。
隅っこに蹲って悲鳴を上げていれば、誰かが助けてくれるわけでもありません。
 
世界は容赦をしてくれない。
弱いものには、とことん残酷。
それがダーク世界の唯一無二の不文律です。
 
誰も助けてくれないから、自分でなんとかするしかない。
年端もいかないような少女ですら、この物語ではそれを受け入れて戦います。
街一つ分を地獄に変えるような巨大な陰謀にも、誰に任せるでもなく一人ひとりが自分の意志で立ち向かう。
故にこの物語には、『主役』『モブ』という分け目が存在しないのです。
 
ダーク-レギオン両スレを象徴する言葉として、『そうなったら人類、最強だろ?』という台詞が何度か出てきました。
誰かが最強になるのではなく、誰もが最強であれば良い。
そうすれば、英雄などと言う都合の良い存在にすがることなく、自分の護るべきものをそれぞれが護るために戦える。
他人任せを良しとせず自分自身が強く在ろうとするメンタリティこそが、このスレの最大のテーマではないでしょうか。
 
また、ダークでは『戦いのその後』にも焦点を当てています。
破壊と絶望をふりまく悪い奴をやっつけても、それで全てが解決するわけではありません。
壊された家は直さなきゃ住めないし、散り散りになってしまった家族とは再会できるかどうかわかりません。
財産を失った者は明日の糧すら怪しく、親を失った子供は路傍で亡骸になるのを待つのみです。
敵を倒したあとも、やらなきゃならないことは山積みです。
敵を倒しただけで全てが解決するのは、それこそバトルを主題に置いた作品だけで十分です。
 
ファンタジーである以上、その『世界』を余すとこなく書いて欲しい。
そういう需要に応えたのが、このダークファンタジーであると私は思います。
需要があったからこそ、このダークをきっかけにファンタジーブームが起こったのではないでしょうか。
 
さて、『ヴァフティア事変』を闘いぬいた彼らの前に、更なる強大な敵が立ちはだかります。
『魔族』と呼ばれる古来の上位存在に対抗するため、戦力を求めて帝都へ上ろうとする彼らですが――?
七年前に決着をつけるのが一期でしたが、二期はどのような物語が展開されるのでしょうか。
楽しみにしながら、ダークファンタジー一期のレビューを終えたいと思います。
 
ご清澄、ありがとうございました。
 

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2012年07月11日 (Wed)
こんばんわ。
積みアニメが残っているのに今季アニメが始まってしまい、
というか前前季ぐらいから撮り貯めてあるのを一向に消化できてないことに気付きました。
録画は便利だけれど、いつでも見れるということは裏を返せば今は見ないということですからね。
自己管理しないと文明の利器はどんどん自分をダメにしていきます。
飽食の時代に育った子供たちが、食べ物の本当のありがたみに気付かないように。
一見夢の発明に見えるものでも、それが浸透するにあたって古き良き何かが失われていくものです。
 
というわけで、「人が生き返る夢のような世界」に石を投げ続ける者達の物語。
今回はジェンスレの序盤について語ろうと思います。
 
ジェンスレ。
肥溜めではこの呼び名が浸透していますが、正式名称は「キャラクター分担型リレー小説やろうぜ!」です。
元は創作発表板へとTRPGジャンルを広めるべく、交流場として立てられたスレでした。
それが、折角なので創発の人に見てもらいながらテストプレイをしてみよう、という話になり。
やがてなな板の歴史に大きく爪痕を残す大事件と、その衝撃的すぎるラストバトルで伝説となったスレです。
 
この件についても、肥溜めウンコマンとしては口角泡を飛ばして語りたくもありますが、自重。
涙をのんで、シナリオの内容について語るだけに留めます。
 
さて、ジェンスレはテストプレイからの派生スレという出自もあって、序盤中盤終盤で話の雰囲気も内容も大きく変わります。
なんでもありな世界観で人格破綻者たちが無軌道に冒険を繰り広げるギャグ分過多なコメディの序盤。
旅が終わりを迎え、目的を望まぬ形で達成してしまい、これで本当に良かったのかと右往左往するバトル多めで若干シリアスな中盤。
そして中盤からの伏線が回収され、明らかになった強大な敵と過酷な現実に立ち向かい戦いに明け暮れるシリアス偏重の終盤。
 
ROMとしては、序盤のコメディで大いに笑わせてもらったので序盤が好きなのですが、やはりラストバトルの凄まじさも外せない。
というか、ジェンスレのバトルは新生ヘヴィとはまた異なる意味で非常にテクニカルで、本当に見ていて飽きませんでした。
今回は序盤ということでバトルにはあまり触れませんのであしからず。
 
では改めて、ジェンスレ。
ジャンルは『ドラクエパロディ系冒険もの』、同系統としては魔法陣グルグルが挙げられます。
コンセプトは『ファンタジーのお約束を真面目に考える』テーマはスレ主本人の言葉を借りて『問い続けること』。
特に序盤はパロディの色合いが強く、同人誌のようなノリの話が続きます。
主要キャラの一人に至っては、ドラゴンボールのアニメオリジナルキャラをそのまま持ってくるという無茶苦茶ぶり。
序盤はドラクエ風のオールドファンタジーな世界観だったのに、いつの間にかネットをやったりゲームをやったり。
そんな出鱈目なシナリオを許容し、まともなテーマへと昇華できてしまう世界観が、ジェンスレの魅力だと思います。
 
ジェンスレの舞台となる世界では、蘇生魔法(ザオリク)が社会に浸透していて、人は死んでも生き返ります。
その蘇生可能範囲は実に広範で応用が効き、死体が爆散でもしないかぎり確実に蘇生可能というとんでもないもの。
蘇生魔法のコストも極めて低く、これによりその世界では実質的に死に別れが存在しないことになっています。
 
一見すると、誰も死なない理想郷のようにも見えます。
しかしその裏では、人が死なないことによる弊害が、着々と世界の首を締め続けているのでした。
死なないということは、生存本能が働かないということです。
機能不全となった生存本能の中には、種の保存を旨とする命令も当然含まれています。
 
つまり、人は死の恐怖から解放されると、子供を作らなくなってしまう。
この世界では、出生率の低下が極めて深刻なレベルに達しており、人口が頭打ちになってしまっていました。
死にはしなくても、老いはします。
極端な少子高齢化は、この世界を老人だらけにするまで余暇いくばくもありませんでした。
 
そこで立ち上がったのが、本編の主人公たち。
光の勇者、未就学児、大悪魔、炎精霊と契約した浪人生などバラエティに富んだ面子が、時折お互いに衝突し合いながらも、
蘇生魔法が世界にもたらす影響とその打開を求めて、各地に栄える四大精霊を尋ねる旅をします。
とはいえ、ノリはお遍路さんみたいなもので、物見遊山の観光気分でもあります。
コメディ色の強い冒険ものとして、アニメ・漫画・ゲームなどのネタを盛大にパロディしながら彼らの旅は続くのでした。
 
作中で出てくるパロディネタは、全て舞台世界で流通しているアニメや漫画のネタという扱いになっています。
オールドファンタジーの勇者や魔法使い達が、アニメについて語り合うという状況の歪さ。
世界観はドラクエなのに、普通に携帯電話やパソコンやテレビなんかが街に溢れかえっています。
当初はただ無軌道で出鱈目な世界観なのだと解釈していましたが、この無秩序っぷりも重要な伏線でした。
人が死なない=世代交代が起きないので、古いものと新しいものがごっちゃになってしまっているということです。
 
こんな感じでコメディパートの傍らでしっかりと世界の問題点を描写しながら、彼らの旅はついに終わりを迎えます。
目的が望まない形で叶えられ、変わってしまった世界で、彼らが直面した現実とは?
シリアス多めになってくる中盤も非常に面白かったので、またレビューをしようと思います。
 
ご清聴ありがとうございました。

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2012年07月05日 (Thu)
こんばんわ。昨日は突発的に忙しくなって更新できませんでした。
連絡もなしにごめんなさい。
 
気を取り直して、今回はヒーローTRPGについて語ろうと思います。
三期まである結構な長編シナリオですので、さしあたり今回は第一期について紹介します。
個人的に一番好きな章です。総合的に言えば二期のラストが最高でしたが。
 
ヒーローTRPG。
ジャンルとしては、異能力アクションものといったところでしょうか。
コンセプトは魔法・異能・超科学をごちゃまぜにした荒くれ達の一晩限りの大暴れ!
そしてシナリオそのもののテーマは、三期通してヒーローらしく『正義と悪』について論じられています。
特にこの一期では、『正義って何?悪って何?』という根本的な疑問を投げかける内容でした。
ここまで書いて、問題の争点としては新生ヘヴィに似てるかも、と思いました。
ジャンルは全然違うんですけどね。
 
簡単なあらすじ:
時は現代。とある架空の大都市では、様々な経緯を経て人外の力を手にした者たちが日夜大暴れしていました。
当初は散発的に発生していた『犯罪』程度の出来事も、時期を重ねるごとに規模がどんどん大きくなっていきます。
やがて異能を手にした者の中でも力を欲望のままに使うことを良しとしない者たちが現れ・・・
あとは、正義の異能者と悪の異能者の二極対立まで一直線。
人々は欲望に心囚われ破壊と略奪の申し子となった異能者を『ヴィラン』、それを狩る正義の超人達を『ヒーロー』と呼び、
街は毎晩のように二つの力が激突しあう激戦地となったのでした。
 
というのがこのスレの基本にして唯一の設定。
自キャラがヴィランとヒーローどっちに加勢するも自由、能力の根拠となる設定も特に制限なし。版権すら可。
事実、アメコミ系のヒーローが元ネタ・・・というかまんまなキャラも結構いたりします。
異能でも魔法でも科学でもなんでもいいから、とにかく超人となってバトルをしよう!というコンセプトのスレなのです。
ヒーロー・ヴィランのネーミングと言い、全体に漂うなんでもありな空気と言い、どこかアメコミっぽいスレでした。
 
アメコミっぽい世界観で、超人たちが無軌道に戦いを繰り広げる。
往時の「コロシアム」スレに近い、非常に敷居の低いスレがこのヒーロースレです。
しかし、話の縦軸のない物語は遅かれ早かれ失速します。『話が進む』という感覚に乏しいからです。
 
TRPGに限らず全ての創作物がそうであるように、ストーリーには目的地が必要です。
登場人物たちが、何を求めて冒険したり戦闘したりして、最終的には何を得られればハッピーエンドになるのか。
国民的RPGたるドラクエだって、荒野でただスライムを殴り殺すだけでは面白みがありません。
ドラゴンを倒してお姫様を救う、そのために強くなる必要があるからスライムを殴り殺す。
そこに物語性が産まれ、プレイヤーは勇者が成長する=目的に近づいていることに面白さを感じるのです。
 
さて、ヒーロースレには長いことこの「目的」が欠けていました。
目の前の敵を倒すという短期的な目標はあっても、敵を倒してじゃあその後どうするのと言われるとツライ、そんな状況でした。
一期も中盤に差し掛かった頃から、ヒーロースレは二人のキャラクターを軸に物語が変わっていきます。
 
ヒーローを名乗りながらも、ここぞという場面で踏み出せず救えるものも救えない、極度のヘタレでニートなヒーロー。
巨悪を志し、犯罪者として大成してやると豪語しておきながら実際はごく小規模な軽犯罪でお茶を濁す無職のヴィラン。
 
なりたい姿と今の自分のギャップに苦しみ、コンプレックスを抱える二人は、ひょんなことから出会い、意気投合します。
そして、とある大金持ちの屋敷に展示された、『手に入れた者に異能をもたらす』と言われる宝石を巡り共同戦線を張ります。
ヒーローとヴィランという、敵対し合う身でありながら、正体と目的をお互いに隠して。
なりたいものになれない自分を変えるために、彼らは一晩限りの怪盗劇を演じるべく屋敷へ乗り込むのでした。
 
しかし、彼らは知りません。
異能をもたらす宝石を、欲しがる者はヒーロー・ヴィラン問わず彼ら以外にも大勢いることに。
予定外に予想外が重なった、奇蹟のような大争奪戦が、今宵幕を開けるのだった・・・
 
正直言って、主人公格の二人が出会ったシーンは読んでる身としてもわくわくしました。
泥沼を這いまわるようにして生きていた男たちが、同じ目をした相手と出会って、這い上がるための契機を得る。
そこに立ちふさがる、ヒーロー・ヴィランの中でも指折りの実力者達。
戦闘力的にも大きく劣る二人が、知恵と行動力を総動員して超人相手に立ちまわったり出し抜いたり、
アメリカ映画のノリと日本の少年漫画的な熱さの見事に融和した良スレだったと思います。
 
最近気づいたのですが、私はこういう不完全な連中が出会いによって大きく変わる、という展開に弱いのかもしれません。
空戦少女とか、ブラまほとか。あとまだ全部読みきれてませんがレギオンもそんな感じの話だと思います。
 
そして記事のタイトルにも書きましたが、ヒーロー一期では正義と悪について一つの結論を出しました。
『正義』とは、今ある何かを『護る』者。それは無辜の人々だったり、大切な日常だったり、汚職の既得権益だったり。
そして『悪』とは、その何かを『変える』者。大きな変化には、否応なしに得する者と損する者が生まれてしまいます。
搾取構造を打開し民衆の独立を目指す革命家だって、今でも十分幸せに生きている人にとっては悪者です。
誰かの裕福な生活をぶち壊すことで、多くの人々が飢えずに済むとしても、ぶち壊された人はぶち壊した者を憎むでしょう。
 
二人のヒーローとヴィランは、そんな複雑な論理に向きあって、自分の立場を自覚しました。
ヒーローになりたいからヒーローになるんじゃない。何かを本気で護ろうとした時、そいつは紛れなくヒーローで。
同じように、現状を打破せんとあがく者は、多くの人を巻き込めば巻き込むほどヴィランと呼ばれるようになる。
 
わからなくなってしまった己のスタンスに、納得の行く答えを出す。
それこそがヒーロースレの主人公達の『目的』であり、この物語のテーマたる『正義・悪とは何か?』に繋がっていくのです。
 
残念ながら彼ら二人の活躍は第一期で終わってしまいました。
しかし二期、三期とまだまだ見応えのあるバトルや物語がいっぱいに詰まったスレなので、いずれ「その2」を語りたいと思います。
 
ご清聴ありがとうございました。

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2012年07月01日 (Sun)

こんばんわ。
土曜のうちに更新のつもりが、予想以上に予定がズレこんでこんな時間になってしまいました。
今回は、時間的な負担の少ない短めのスレということで1スレだけサラっと読めた新生ヘヴィファンタジーについて書きます。

新生ヘヴィファンタジー。
スレタイからも分かるように、過去の名作と同じコンセプトでもう一度新規に始めようという復刻版スレです。
元になった無印ヘヴィファンタジーは、ラストの怒涛の展開で肥溜め(当時はマボダイ)で一躍有名になったスレでした。
私の口からは言うのも憚れるような内容なので、気になる方はぜひ、ご自分の目で確かめてください。
広辞苑の過去スレから今でも見れるはずです。

というわけで話を新生ヘヴィに戻します。
コンセプトとしては、その名の通りヘヴィな作風のファンタジー。
ここで言うヘヴィ(重い)とは、「重い空気」とか「ヘヴィな状況」とかそういうニュアンスです。
重苦しく、陰鬱としていて、ご都合主義の存在しない、シリアス偏重なファンタジー。
それが、この新生ヘヴィファンタジーという物語です。

あらすじを説明すると、まず舞台となる辺境の街では圧政を敷く帝国に不満を持った民たちが反乱を起こしています。
そこへ、皇室第九皇子率いる帝国軍が、反乱鎮圧と暴徒粛清のために派兵されて来ました。
民草に比べ武力において圧倒的な軍の到着により、反乱は即座に治められる・・・そのはずでした。
何度倒されても立ち上がる人々、帝国軍すら翻弄する新兵器の登場、民草ですらない第三勢力の暗躍・・・
この反乱の背景には、帝国と敵対関係にある王国の後ろ盾があり、どうやら一筋縄ではいかないようです。

と、この反乱軍と帝国軍との戦争の趨勢が、物語の軸となります。
というよりも序盤のこの戦いだけでスレ自体が終了してしまったんですけどね・・・

さて、このスレを語る上で外せないのが登場人物、参加者操るキャラクター達です。
新生ヘヴィでは参加者は必ず帝国軍と反乱軍の二陣営のどちらかに参戦する形でキャラを作ります。
その背景にどんな事情や組織の存在があろうとも、便宜の上では二極です。
必然的に、圧政を敷く帝国に与する者は悪役、それに抗う反乱軍が善役となります。

ところが、帝国軍側のメンバーは不遇の皇子や忠節者の臣下、人の良い中年兵などおよそ悪役とは思えぬ面子が揃い、
逆に反乱軍側は契約によって力を貸す謎の男や死体を操る術を持つ神官、力のままに暴れる竜神etc・・・
反乱軍の背景に「王国の陰謀」があることもあってか、掴みどころのない謎多きキャラ達が集まっています。
このキャラと所属のギャップは偶然の采配によるところが大きいとは言え実に巧妙で、読み手としては一瞬どっちを応援していいのかわからなくなってしまいます。

それはシナリオ中にも現れており、スタート時は侵略行為や重税などの圧政に加担する帝国サイドは悪役として描かれていましたが、
話が進むにつれ反乱サイドが優勢になってくると今度は伝染病の流布や死体を操り戦わせるなど反乱サイドの戦術がエグくなっていき、
同時に帝国の圧政にも論理的な解説がつくとどこかそれなら仕方ないなと納得できてしまっていて・・・
いつの間にか、民を導くべく正当な戦いをする帝国と、それを阻む王国の傀儡となった反乱軍、といった構図に見えてきてしまいます。

ゆえに新生ヘヴィスレは、この二転三転する『正義』の在り処を読み手に問う物語だと私は思います。
王道ファンタジーのように光と闇の勢力で正義が明確に定まっているわけではなく。
むしろ正義とは、そこに立つ人間が戦う理由として標榜するために都合よく作り替えてしまうプロパガンダなのだと。
『正義とはルールではなくスローガン』。そう念頭に置いてこのスレを読み解けば、キャラ達の心情にも得心がいきます。
彼らにとってこの戦いは、勧善懲悪ではなく利害の不一致による武力交渉なのです。

さてさて、この新生ヘヴィスレの魅力はもう一つあります。
それは、登場人物全員が魔法スキルを標準装備しているという状況によって生まれたハイレベルな魔法バトルです。
このスレにおける魔法は、火水木風地の五属性で体系付けられ戦争にも積極的に取り込まれています。
ダークスレ/レギオンのように綿密に設定を組まれているわけではなく、ジェンスレのように特殊な契約設定があるわけでもなく、
ファンタジー系ゲームの属性分け程度の原始的な魔法体系ですが、これがうまく機能しています。

この五属性はいわゆる五行思想の相剋相生に則っており、例えば風属性は火属性に弱く、地属性に強いです。
新生ヘヴィでは、風属性に相性の悪い地属性使いが工夫を凝らしてなんとか対等の戦いに持って行ったり、
火属性の呪いを打ち消すために水属性を使う・・・ということまで見越して水属性の探知結界を張ったり。
そういう属性の相剋を前提に置いたバトルがとても面白かった印象があります。

これはスレとは関係ない一般的ななな板TRPG論になりますが、昔からプレイヤー達の間で属性システムは鬼門とされていました。
属性システムを採用すれば、例えばある属性に対して強い属性は、チョキに対するグーのように無条件に打ち勝ってしまう。
これがどんな問題を招くかといえば、つまりはバトルの陳腐化です。
どれだけ知恵を絞り工夫を凝らした必殺技を放っても、属性的に弱ければ簡単に打ち消されてしまう。
どれだけ伏線を張って凄みを強調してきた敵キャラも、属性的に強いキャラにはどうやっても勝てない。

これが、きちんと数値化されたシステムを持つ本家TRPGならば運用できたのでしょうが、なな板のこれはほぼリレー小説です。
ましてや、エンチャント技能などで属性をコロコロ替えられるようなキャラがいたら、そいつが否応なしに最強です。
ゲームバランス、というか物語としてのバランスを崩壊させかねないからこそ、属性システムには慎重にならねばなりませんでした。

新生ヘヴィの場合、この属性システムに何かバランス維持のための制限をかけて組み込んだわけではありません。
ゆえに前述の通り地属性使いと風属性使いが対峙したり、風属性の呪いに手も足も出ないという状況も発生しました。
しかし、それでも工夫と立ち回りによって互角の戦いができていたのは、ひとえに参加者達がきちんと空気を読んだからでしょう。
上記のようなバランス崩壊は、最強厨や万能厨がいるからこそ懸念される事項です。
ちゃんと空気を読んで、相手を尊重するプレイをできるのなら、この問題は発生し得ません。

そういう意味で、属性バトルをハイレベルに行えていた新生ヘヴィは、とても参加者に恵まれたスレだと言えるでしょう。
それだけに、途中で終了してしまったのが残念でなりません。

またこのようなバトルの面白い、また深く考えさせられるスレに出会えることを願って。
ご清澄ありがとうございました。

拍手[4回]

2012年06月27日 (Wed)

こんばんわ。

当面の方針として、完結済みもしくは惜しくも完全凍結や途中終了してしまったスレについて語ろうと思います
現行のものはまだ物語が形成されていないものも多く、また私がレビューすることによって余計なトラブルが発生してしまうなどのリスクを考慮したうえでのことです。
ブラまほについては、3月の一時終了時に一端の区切りがついたということでレビューさせていただきました。
今後ぶらまほが完結したときに、改めてレビューをしようと思います。
というわけで、今回は先年の震災で惜しくも凍結の憂き目にあった空戦少女について語ります。

空戦少女。
ジャンルとしては、一応SFミリタリーアクションになるのでしょうか。
コンセプトは、少女×兵器×空戦!テンプレでも言及されていましたがストライクウィッチーズや武装神姫の流れでしょう。
ここ二日間で本編の方を拝読しましたが、どっちかというと軍事系というよりかはスポーツ系のノリですね・・・。

遠い未来、長く続いた戦争が終結し、世界中の空が残らず平和になって間もない世界。
戦闘機に代わって空での戦いの覇権を握っていた空飛ぶアンドロイド兵器達は、「空戦少女」と名を変えて戦いの場を興行ショーに移しました。
「空戦少女」は、アンドロイド達の非軍事性をアピールするために作られたスポーツ競技です。
とは言え、もとが軍用兵器なのでその様相は健全とは言い難く、実弾ありの過激なバトルをウリにした興行でもあります。

参戦する空戦少女達には大きく分けて二種類いて、ひとつは軍属上がりで力を振るう場所を空戦に求めた古兵の戦闘狂。
そして、各国企業がその技術力をアピールするために空戦少女専用に生み出した純粋培養の若い世代。
前者も後者もスポーツ競技という空戦少女の本質にはそぐわず、そして意志ある彼女たちは自分の在り方に迷います。
戦場で墜とすか墜とされるかの戦いを繰り広げ、勝ち続けてきた古参達は、(建前だけでも)健全を強制する競技に辟易。
そして企業の宣伝塔として空戦少女に放り込まれた新参者達は、「活躍」はしても「勝つ」ことに意味を見出せません。

片や、旺盛すぎるハングリーさをスポーツの中でうまく消化できず。
片や営利主義の傀儡であり自分の意志で踏み出すことを知らず戦闘意欲の欠片もない。
この両極端な対比の構図が、空戦少女というドラマの軸となって物語は走り出します。
ゆえにこのスレの根本のテーマは、空戦少女という競技を通して自分の在り方を見つけていくことだと、私は解釈しました。

そのテーマは第一章「キャノンボールレース」の結末によく現れていると思います。
自分に宣伝塔以上の価値を見出せず、観客へのアピールにかまけて幾度も勝利を逃してきた空戦少女。
彼女は、戦場からやってきた勝ち続けることでしか自己表現ができない古株の空戦少女と出逢い、そして競技では対峙します。
煮詰まったレース終盤で、古株の勝つことに命すら掛けるひたむきさに触れたことで、彼女は胸の奥に滾る戦意を自覚。
古株の少女もまた、「カッコよく」戦うことを貫く新参者に心を惹かれ、全力でぶつかり合います。
握った汗すら蒸発するデットヒートを経て、勝利をその手に掴んだのは――?
ネタバレになるので深く言及はしませんが、末尾ダイスは本当にいい仕事をしたと思います。

空戦少女はこの二つの正反対な「不完全さ」を対立関係に持ち込んだ妙手こそが魅力の一味でしょう。
お互いがお互いのいびつさを際立たせ、それを求め合うことで達成のカタルシスを相乗させている。
遠未来が舞台の、全身武器な空戦少女たちの妙な人間臭さがそこに彩りを加えているのです。

というわけで、今回の総括。
空戦少女とは、よく練り込まれたSF系世界観で展開される泥臭いスポ根モノである。
基本はSFバトルですが、根底に流れるのはやはりスポ根の血であると思いました。
もちろん異論は受け付けます。

ご清聴ありがとうございました。

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